離陸と着陸

こんにちは。皆さん飛行機に乗ったことがありますよね。初めて乗る飛行機は離陸・着陸どちらもドキドキしませんでしたか?私は社会人になって初めて飛行機に搭乗しました。不幸な想像が頭をよぎり、とても怖かったのを覚えています。

現場のパイロットさんによれば、離陸が怖い派、着陸が怖い派に分かれるそうです。航空業界では「魔の11分間」というのがあって、離陸前の3分・着陸前の8分に航空事故は集中しているということらしいです。離陸ではパイロットがあまり気にかけることは無く、どちらかというと「機器任せ」の要素が強いとのこと。離陸時の飛行機の速度は時速300Kmに達し、滑走路に障害物が無いか、エンジンから火を噴かないか、などパイロットの技術の及ばない部分に危険があるのです。離陸直前のとっさの判断が特に難しいようです。着陸では減速していますしガソリン量も減っていますがやはり衝撃の無いように着地する技術、風の計算、停止するまでの距離などパイロットの経験・技術が非常に必要な部分なのでしょう。我々素人からすればどちらも大変怖いですね。

さて、最近私は「医療もこの事柄に似ているな」と思うことが多くなってきました。

私は約30年病院勤務医として働いてきました。症状から病気を特定し、とにかくその病変を倒す・消滅させる事を目的とした医療を行ってきました。手術や抗がん剤、放射線治療などはまさしく好例でしょう。手術中の予期せぬ出血にどう備えるか、どのタイミングで適切な治療を行うかなどまさしく急性期医療ですね。例えるならば飛行機の離陸に似ていませんか?対して、現在取り組んでいる在宅医療は着陸の医療ではないでしょうか?無理に身体に負担をかけるような治療は行わず、自宅で最期まで自分らしく有るようにお手伝いをする、そんな医療だと思っております。そのためには本人・介護をする御家族ともよく話し合って治療方針を決定する必要があります。

私たちは、ご縁があって知り合った患者様と人間として真摯に向き合い、それぞれの人・家庭に即した最適な医療を提供できるように心がけたいと思います。医師は二人とも50代半ばですが、多くの経験を積んできた医師であると自負しております。そして我々は、皆様と共にまっすぐ伸びる滑走路を目指して穏やかに着陸できるように常に心がけたいと思っております。

在宅医療に関心のある方は是非御連絡ください。

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