我々は訪問診療医として、できる限り最良を尽くそうと日々努力していますが、それでも「この患者さまは訪問診療では無く、介護施設で療養するべきだ」と判断する場合もあります。もちろんケースバイケースなので、一概に言えないのですが、たとえばその例として、単身独居の方の場合などで、
ⅰ)本人に判断能力があるか、認知症ではないか
ⅱ)障害に対して適切な介護力が充当されているか
をチェックします。というのも、独り暮らしの場合でかつ認知症や判断能力が衰えている患者さまの場合、医師が居ないタイミングで危険な状況になってしまわないとも言い切れません。また、ⅱ)ですが、介護サービスなどの公的な介護力、家族来訪やボランティアなどによる私的な介護力の合計分が、障害で生まれる生活の不便を充当するだけに及ばないとしたら、誰かが24時間体制で手助けしてくれる場所を求めるほかありません。
こうした場合は医師も勿論、介護力として力を尽くしますが、やはり訪問診療医も多くの患者さんを診察しなければならないので限界はあります。こうした場合、歯がゆくもありますが私たちは訪問診療医ですが、介護施設の利用について、患者さまご自身や家族の方に相談させていただくことがあります。